「姥ときめき」に続くシリーズ第3巻。
「豊田商事事件」をもじった「戸板商事事件」にからみ、老人が詐欺にあう悲喜劇を風刺した「姥とちり」など7編を収録。歌子サンが「戸板商事」に騙されたのではないかと慌てて電話をかけてくる嫁たちと歌子サンの掛け合いが絶妙。惚け老人問題などをとりあげながらも例によって深く踏み込まずにきれいにいなしている。社会派小説ではないのだからそれでいいというものではあるが、私としてはやや物足りない。本巻では他にも時事問題を扱っているが、「そんなもんにきばって怒らんでも気の持ちようでどないでもなりますわ」というのが作者のスタンスなのかもしれない。
シリーズが長期化して歌子サンもちょっと息切れしてきたという感じを与える。次巻で完結するのだが、どんな形で終わらせるのか。ベテランの作者のことだから、やはりさらりといなして終わらせるのだろう。
(2000年8月15日読了)