「創竜伝11 銀月王伝奇」の続刊。ただし、内容はまたまた外伝で、しかも10巻の続きになる。本伝が3巻連続で飛ばされてしまうというのは驚きである。やりすぎではないかという気もする。
舞台は南宋時代の中国。地上界に降りていってから行方不明の青竜王(竜堂始)を探しに、白竜王(竜堂終)が五仙(五種類の動物の精)を引き連れて天上界からやってくる。宋の皇帝趙匡義は敵国遼との戦いで敗走し、自信を失いかけているところへ異国の悪神が皇帝の心を乱すようなことをささやいてくる。歴史を狂わせかねない悪神に対し、青竜王と白竜王は怒りの鉄槌を下す。
ストーリー自体はそう複雑なものではない。ただ、青竜王が歴史の流れを記憶していて、それが変化するのを防ぐ、いわばタイムパトロール的な活躍をするという設定が伝奇小説としてはユニークである。しかも、味方でありながら暴れだしたら歴史の流れを乱れさせてしまいそうな白竜王という爆弾を身内に抱えているあたりがこの設定を面白く演出しているといえる。
南宋の政治をえらく賞賛しているが、これは文治政策がよく機能していたことなどを比較して現在の日本政治を批判しているのだろう。
肩のこらない読み物として書かれてはいるが、作者としてはいろいろな意味をこめて書いているのだろう。そこらあたりは職人技という感じがする。
最終章でいきなり物語が本伝に戻っているが、さすがに本伝の続きを書かなければならないと思ったのだろう。推察するに、作者は本伝よりも外伝が面白くなってきているのではないだろうか。そのためにも本伝の完結が待たれるところだ。
(2000年8月24日読了)