「魔魚戦記」をシリーズ化した第2弾。
帝国の支配からフォルテッシモ星系を奪回したレスタンティとその婚約者である巨大な異星人、ハーウィン。二人は一躍星系の有名人に。しかし、帝国はフォルテッシモを再び支配下におくべく、ハーウィンの人気を逆手に取った奸計を敷いていた。宇宙に散らばった難民たちに対し、フォルテッシモにいけばハーウィンが救ってくれると吹き込んだのである。続々集まる難民たち。しかしフォルテッシモに彼らを受け入れる余地はない。窮地に追い込まれたフォルテッシモ政府。さらに帝国はハーウィンの泣き所であるレスタンティの拉致をも画策していた。その情報をリークする謎の女スパイも登場し、状況はますます混乱する。このピンチをレスタンティとハーウィンはどう切り抜けるのか。
なんともとぼけた味わいは、本巻でも健在ではある。しかし、女スパイや帝国の諜報部隊がからむアクションシーンが、その持ち味を殺してしまう危険性をはらんでいる。対象となる読者層を考えたら、そういったアクションシーンは不可欠な要素なのだろう。しかし、作者の持つ独自の個性がそのために損なわれてしまうとしたら、せっかくユニークな人材を発掘したのに、それが無駄になってしまうのではないか。
正直なところ、シリーズ化してほしくはなかったのだが、それは私のわがままなのかもしれない。しかし、シリーズにしたのならば、第1巻の路線を継承していくべきだし、本巻を読んだ限りでは方向性が変わってしまっているようで、そこが気がかりである。
(2000年10月15日読了)