読書感想文


オズの虹の国
ライマン・フランク・ボーム著
佐藤高子訳
ハヤカワ文庫NV
1975年6月30日第1刷
定価280円

 「オズの魔法使い」に続くオズ・シリーズの第2巻。
 エメラルドの都から外れた村にいたチップ少年は、育ての親の魔女モンビからくすねた魔法の粉でカボチャを頭にした人形、ジャックに命を吹き込む。意地悪なモンビのもとから逃れたジャックはジャックとともにエメラルドの都へ。オズの魔法使いが去ったあと都の王様になっていたかかしは、女の子たちの革命軍に追われて都を脱出する。女の子たちはモンビと手を組んだので、かかしと合流したチップは都から逃げ出さなくてはならない。ブリキの木こりに助勢を頼んだかかしは、ぶじエメラルドの都に帰れるのか。本当にオズの国を治めるべき「オズマ姫」の行方を探すチップたちは、姫を見つけだせるのか。
 本書の方が第1巻よりもナンセンス度が高く、楽しめた。エセ教養人への風刺の効いたムシノスケ。そして、ソファーと木の葉とホウキと鹿の頭のキメラであるガンプは何やらクローン合成で生命をもてあそぶなと100年後の人間に警告でもしているみたいだ。性転換に革命ごっこ、いずれにも風刺の意味が隠されているのだろうが、それがストレートに出てこない分だけアイデアのごった煮的なものになっていて、それがナンセンス性を高めている。その分ストーリーの完成度では落ちるかもしれないが。

(2000年10月14日読了)


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