バツイチ破産目医者で歌よみの著者によるエッセイ集。
「言うてすまんが」では読者の悩みにとぼけた味わいの回答をしていた著者だが、本書では思い付くまま気の向くままに最近のこと昔のこと、プライベートなことに言葉についての蘊蓄にと、自由自在な筆致で楽しませてくれる。
言葉のリズムがよい。いや別に三十一文字五七調で全編書いてるわけではありません。漢文の素養がなければ出てこないような言葉がひょいと出てくるかと思うと「そんなことは有馬温泉古泉閣」みたいなおっさんくさい掛け言葉も出てくる。そこもまた自由自在。特にわざわざこしらえて笑わせようとしている訳ではないのだが、読んでいるうちについつい笑ってしまわせる。これを自然体という。力まずさらりと何気なく。そこに著者の持ち味がある。
別れた奥さんが再婚したといっては嘆き、かと思うと更年期だからアッチの欲望はなくなったと悟ったようなことを書く。それでも悟りきれていない哀しさ可笑しさ。まさしくタイトルの通り、人生なんでんかんでんありですわ。
ちょっと疲れた時に読むとなんかほっとする。だからといって「癒し系」の本ではアリマセン。不思議でしょう。まあ読んでみて。
(2000年10月28日読了)