「星間群龍伝 II 策謀の嵐」の続刊。
UTIの独裁者、北河康充郎は、身体の老化で死に直面していた。後継者候補の嫡子、北河光輝とクローンの聖蓮は康充郎の死後、どちらがイニシアチブをとるかそれぞれが水面下の争いを始める。一方、UTI第3の男キースは、恒星連邦に康充郎重体の情報を流し、彼の艦隊と連邦の艦隊で聖蓮を挟み撃ちにしてUTIを乗っ取ろうと仕掛ける。連邦側では、皇太子となるべきシオンが最前線に立ち、UTIの中心部に直接ワープして錯綜する艦隊を叩こうとする。しかし、まだ若いシオンは指揮官として初めて直面する犠牲者や戦いのことで苦悩し、彼を補佐するカミーラや祖父のレオンたちの期待通りに動けない。はたして正面突破の作戦は成功するのか。
独裁国家の後継者問題という要素を折り込むことにより、戦争の持つ内政に関する意味を強調している。未熟な指揮官の成長物語ともあいまって、情勢はますます混沌としてきた。単純な戦術を描いたスペースオペラとは違い、いわば未来史的な側面を持ったシリーズだけに当然といえば当然な展開ではあるが、こういった複合的な要素が本シリーズの魅力なのである。様々な試練を体験するシオンが今後どのような指導者に変貌していくか。続巻への興味は尽きない。
(2000年11月7日読了)