読書感想文


侵略者の平和 第二部 観察
林譲治著
ハルキ文庫
2000年11月18日第1刷
定価620円

 「侵略者の平和 第一部 接触」の続刊。那國と惑星エキドナのファーストコンタクトは、那國側の政治的な事情から、エキドナの王都ルゴフの占領という形で展開をする。しかし、王宮を占領したエクスカーナ治安警察軍の用意した翻訳機は全く用をなさず、エキドナ制圧は遅々として進まない。エキドナ人と那國人とが同じ人類であると判断した調査官、マーサ教授は、一方的な侵略に反対。翻訳機の開発を名目にエキドナの調査を行うことにする。一方、エキドナの王女、シズノ姫はこの機会をつかみ王権奪取と異星人への反撃を開始する。
 本巻では社会派のシミュレーション作家でもある作者の本領が発揮される。メディア論、言語学、そして政略など様々な要素をからめて異文化の衝突をリアリティのあるものに仕上げているのだ。
 役にたたない翻訳機がつむぎだす文章など、抱腹絶倒のお遊びもあり、作者の筆は快調に進む。次巻で完結予定だそうだが、この奇妙なファーストコンタクトがどのような結果に収斂されていくのか、おおいに楽しみであり、また待ち遠しい。

(2000年11月22日読了)


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