「始皇帝復活」の続刊。六郷紀里は、始皇帝陵で復活した始皇帝に出会う。始皇帝は不老不死の術を施されていたのだ。迷路のような構造で罠がふんだんに仕掛けられた始皇帝陵。その中にテロリスト集団「天地之牙」のメンバーたちや彼らを追う中国人民解放軍特殊部隊も入り込み、壮絶な戦いが始まる。歴史を超えて蘇った始皇帝もまた、その戦いに否応もなく巻き込まれていくのだが……。
前巻と同様、始皇帝の伝説と現代のテロリストの戦いが混沌となった形での展開となるわけだが、本巻は基軸としてテロリストの戦いがあり、そこに蘇った始皇帝がどうからんでいくかというスタイルで話が進むので、前巻に見られた統一感のなさはそれほどない。
本巻でも物語に決着はつかず、蘇った始皇帝がなにをしたいのか、どのような方法で現代のテロリストたちにその存在を知らしめるのかなどは先送りになっている。
本巻での見どころは、蘇った始皇帝が六郷紀里の出してくる現代の物品に示す対応である。進取の気風を持ったと伝えられる始皇帝が示す好奇心、そして順応性など、不自然なところがなく描けている。カルチャーギャップなどというものを超えた、いわばファースト・コンタクトに近い面白さがここにはある。
次巻以降、始皇帝はどのようにその存在感を現代に示していくのか、そこらあたりに注目していきたい。
(2000年11月28日読了)