「花衣花戦」に続くシリーズ第11巻。
藤原元方の霊を操っていた邪神、夜刀神は、中宮彰子づきの女房小波にとり憑き彰子を襲わせる。夜刀神は自分の憑依する体として姫宮を狙う。義明との愛に揺れ動く姫宮の心の隙につけこみ、夜刀神はアマテル神に対する疑いを姫宮に持たせ、自分を体に受け入れるように誘導していく。一方、義明は藤原伊周に向けられた呪を解くためにその屋敷につめていたが、亜空に閉じ込められてしまう。義明は姫宮を助けることができるのか。また義明の助けを拒む姫宮と夜刀神との戦いの結末は。夜刀神に力を貸すカゲの意図は……。
姫宮が自分の存在を疑い、また、義明との関係を意識し、そして夜刀神の誘惑に苦しむ姿は、幼子の自我が発達して社会と自分の関係を知り、そこに順応して大人となっていく過程を示しているようで、興味深い。雌雄同体である姫宮はシリーズ開始当初はまさに少年のような雰囲気をもって登場したわけだが、ここにきて自分の内なる「女性」に目覚めていっているということなのだろう。本書は、シリーズが完結した時に、姫宮がどう変化していくかの鍵を握る巻となるのではないかと思う。本書で義明との関係も少し変化したことが、次巻以降どのように物語に影響を与えるのか、注目したいところである。
(2001年4月6日読了)