「天国に涙はいらない」の続刊。
一度は死んだ賀茂是雄だったが、熾天使アブデルの計らいで、現世に転生できた。しかし、彼はなんと狐の子に生まれ変わっていたのだ。元の姿に戻るには、東京の霊狐、白蔵主の力を借りなければならない。北海道からはるばる東京に戻った是雄だったが、白蔵主に教わった方法は現代ではそれを行うことが不可能と知る。失意の是雄を助けたのは、猫の耳を生やした少女、真央だった。彼女は人間としては死んでいたが、その魂を飼い猫の体に移して生きているという存在で、両親からは化け物と疎んじられ、孤独の身。一方、たまと律子は転生したはずの是雄を探していた。たまたちはぶじ是雄と再会できるのか。そして是雄は人間の姿に戻ることができるのか。熾天使アブデルの介入で事態は混乱……。
狐に転生した主人公を人間に戻すという過程をコメディとして描いているわけだけれど、実はストーリーはそれだけで、これで長篇1冊分は辛いものがある。この内容と話の運びからいくと半分くらいの分量に凝縮した方がまとまってよかったのでは。それを前半として、後半にもうひとつ別なアイデアの話を入れるというようにすると分量的にはちょうどよいのではないかと感じた。
さらに猫少女のエピソードは泣かせる内容にしているのだが、残念ながらギャグの部分とうまく噛み合っていない。前巻の時も書いたのだが、作者の博識を生かした作品を書いてほしい。逆にいえばこれだけの知識をうまくギャグに結び付けられないというところに今後の成長の余地があるといえる。そのためはもっともっと喜劇のツボを知ってもらいたいのだ。作者の知識吸収力を考えたら、それは可能なのではないかと思うのだが。
(2001年5月3日読了)