「偽りのリヴァイヴ」に続くシリーズ第2巻。
お尋ね者のヒンメル博士を探す「有限会社賞金稼ぎ」のタケルとヤマトは、前巻の事件で軍のお尋ね者となっていた。一時退避のために赤色星系の小さな星に身を隠した彼らは、見捨てられた聖地であるルナンで金環食の祭の場に立ち会うことになる。そこでは神に祭られる聖パトリーノの役割を果たすテレパスの少女スセリナが行方不明となり、祭の実施が危ぶまれていた。祭を行わないとルナンには新生児が産まれないという。司祭の命令でスセリナの代わりに聖パトリーナにすべくさらわれてきたテレパス、レーナは、ヤマトを追う軍の中尉であった。祭を阻止しようとする謎の男、カイン。タケルは彼をヒンメル博士ではないかと疑う。金環食の祭の実体とはなんだったのか。スセリナの行方はどこか。タケルたちはレーナを救い出すことができるのか。追いつ追われつのアクション劇が始まる。
前巻よりも事件の設定などに独自のアイデアが盛り込まれており、アクションシーンのスリルも過不足なく描き出されていて、面白く読める。特に追う立場と追われる立場が錯綜するところなど、構成にひねりがあって楽しい。
SFとして読んだ場合、金環食の祭の根本的なシステムにほとんど説明らしきものがなく、科学と呪術の区別がついていないところに物足りなさを感じる。全体の設定や展開は本格SFなのに、根本的なアイデアでSFではなくなってしまうのでいささか違和感が残るのが残念。次作こそ核となるアイデアに本格SFとしての面白さを感じさせるものにしてほしい。でないと、せっかくの設定がもったいない。
(2001年5月13日読了)