読書感想文


もひとつ ま・く・ら
柳家小三治著
講談社文庫
2001年5月15日第1刷
定価733円

 「ま・く・ら」が好評で、またまた小三治師匠の「まくら」をまとめた本がでちまったんですよ、ええ。前の本もおもしろかったですけどね、この本もおもしろいですよ。だけどねえ、読んでて心配になるんですよ。こんなにまくらが長くって、そっからまたけっこう長い噺をやってんですよ。師匠の高座って、噺ひとつでどんくらい時間かけてんでしょうねえ。大阪じゃ独演会やってくんないですからね。「東西名人会」ってんで上方落語の大御所といっしょに出演したりしてますからねえ。あんまり好きに時間をのばせないでしょう。あたくしもね、いっぺんでいいから師匠の落語をまくらもいっしょにたっぷり聞きたいんですけどね、鎌倉だか博多だか横浜だかとにかく師匠が定期的に独演会をやってるとこへ行かないといけないんですよ。まあね、こうやって本にまとめてくれるからいいんですけどね、やっぱりこういうのは生で聞きたいじゃないですか。ソニーではもうCD出さないんですかね。DVDでもいいや。とにかく活字だけじゃ物足りないんですよ。声の抑揚がないと、ね。細かいニュアンスってもんが伝わってこない。活字だけでこんだけおもしろいんだから、音も聞きたいし仕草や表情も見たいじゃないですか。この本に対する不満ってのはそれだけでね、あとはもう小三治ひとり語りをたっぷり味わうだけですよ、ええ。
 これじゃ本の内容がわかんないじゃないかって? ネタをばらしちゃいけないよ。読みゃあわかるんだから、読みなさい。それ以上ね、あたくしが書けるこたぁないです。とにかく読みゃあわかるんです、ほんとに。

(2001年6月18日読了)


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