「皇国の守護者 5 英雄たるの代価」に続くシリーズ第6巻。
駒城保胤の急病で急遽指揮官の座についた新城は、強権を発動して軍を把握、敵の戦略を読み防御ラインを後退させ持久戦に持ち込む。一方、皇都では皇帝を支える五将家の間で新城をめぐり極めて政治的な暗闘が始まっていた。新城を陥れようと図る守原家の陰謀とは……。
本巻の展開は異世界を舞台としているとはいえ、はっきりと戦略シミュレーションとしての性格を全面に押し出してきている。シリーズ開始当初の異世界ファンタジーと戦略シミュレーションの融合という斬新な発想がこと本巻に関してはあまり有効に働いていないという感じである。そのあたり、次巻以降でどのような方向性で書き進めていくかに注目してみたい。つまり、あくまで戦略を全面に押し出した作者ならではのシリーズにするのか、異世界ファンタジーという設定にまだこだわって作者の新たな境地を開拓していくのか。現時点がその分岐点となっていくような気がするのである。
(2001年6月26日読了)