「双星記 2 世界の彼方の敵」の続巻。
衛星アル・ゴを占領した〈宝石艦隊〉はいよいよ惑星アル・ヴェルガス侵攻に打って出る。総司令官に正式に任命されたラインバックは背後にいるヒロ・リュウガサキの命令を受けながらなんとか人が死なないですむ方向性をとろうとする。一方、手中にあったラインバックを解放したとして非難を受けたランディスヴァーゲンは、本人の意志と反して〈静かなる紫水晶〉艦隊を率いてアル・ヴェガス侵攻に参加させられることになる。ところが、艦内で宙兵隊による叛乱が起こり、旗艦は混乱状態に。非常用のシャトルで脱出したランディスヴァーゲンと副官ヴェルスターペン、そして民間業者のペンキ屋、G・Sとアン・マックィーンは降下兵とほぼ同じ時期に敵地アル・ヴェルガスに着陸する。旗艦を見捨てるように脱出したランディスヴァーゲンの意図は何か。敵地に乗り込んだ彼らの運命は……。
本巻ではこれまで明らかにされていなかったランディスヴァーゲンの過去に関わる謎について少しずつヒントが提示されていく。それが艦隊内での叛乱という今後のストーリー展開に大きな影響を与える出来事にうまくからませているところに巧みさを感じた。また、リュウガサキとラインバックの微妙な関係は、指導者というものについていろいろと考えさせるものになっている。こういった人間関係の描写と派手な戦闘シーンをうまく噛み合わせていくところに本書の面白さがあると思う。
ランディスヴァーゲンが敵地に降り立ったことで、今後ラインバックやリュウガサキとの直接対決が予想される。次巻以降の楽しみの一つだろう。
ところで本巻では「カークランド」「アルトマン」「テーラー」「ブリーデン」「ヒルトン」「オマリー」「クリーク」「パウエル」などなどかつてのタイガースの外国人選手の名を持つ人物が目白押しで登場する。タイガースファンの私としてはこのお遊び、とっても楽しみ。あの「グリーンウェル」はいつ出てくるんだろう、わくわく。で、ふと感じたのだが、「ランディスヴァーゲン」ってあの三冠王「ランディ・バース」のもじりなんじゃないか?
(2001年6月29日読了)