「ハルピュイア奮戦記 第一話 翼の誕生」の続巻。
惑星ニケを脱出したマリアは彼女の脱出を助けたネストル傭兵団のつてで惑星破壊難民救助支援組織ストリングスの保護下に入る。その一員である毒蛇のリーのもつ危険な匂いにマリアは惹かれていく。そして、自らストリングスの傘下に入り故郷を全滅させたカルヴァントラ帝国への復讐を誓うのだった。
作者のあとがきによると続巻が出るかどうかは微妙なところだそうである。したがって、本巻で完結という可能性もある。ここらあたりはシリーズものの難しいところだ。
さて本巻だが、脱出してからの状況説明が長く、肝心のマリアとリーの関係の進展などがあっさりと片付けられてしまうなど、書き込みのバランスの悪さを感じた。つまり、前半は長期シリーズの続編として書かれているのだが、後半は一応本巻でカタをつけなければならないと書き急いだ観がある。
そういう意味では作者もそうだろうが読者も不完全燃焼にならざるを得ない展開といえる。第1巻で見せた大胆な展開は本巻に至って無難な方向にいってしまった。事情があるからやむを得ないことなのかもしれないが、残念なことである。できれば本巻がそれなりに売れて続編が出るようになればよいのだが。
(2001年7月25日読了)