「新・魔獣狩り6 魔道編」に続くサイコ・ダイバー・シリーズ、第19巻。
鬼奈村典子が乙部寺から消えた。彼女を連れ去ったのは黄金の仮面をかぶった謎の人物。金剛拳を受け継ぐ有堂岳が仮面の人物と遭遇する。一方、文成仙吉はケセンの金犬九郎と接触、空海の秘事を伝える音部の判断で、高野山の円寂、腐鬼の渦紋、ケセンの草凪王、出雲の鬼奈村雅泉が今後の対応について話し合いをはじめた。美空の導きで神明会から脱出した九門鳳介もまた東北を目指す。そして、空海と融合した黒御所は神明会の白井狂風のもとを訪れ、彼らもまたともに東北へ向かうことになる。そして、何かが起きることを示すように地竜が動き始め、不気味な地震が列島を襲う。
いよいよ物語が大きく動き始めた。物語の鍵を握る典子をめぐり暗躍する謎の人物の登場、主要人物の花巻への集結が、クライマックスの近さを予感させる。
ところで、花巻に人々が集結するということは、やはり作者の最大のテーマである『螺旋』や『宮沢賢治』に何か関連があるのだろうか。もしそうであれば、やはり作者が追求し続ける『空海』と物語が結びつくことになる。作者の内宇宙が完成することになるとすると、本シリーズはまさしく作者の集大成ということになる。そう考えるだけでぞくぞくするほど嬉しい。続巻が待ち遠しくてならない。
(2001年8月6日読了)