「コールド・ゲヘナ 3」の続刊。外伝である「コールド・ゲヘナ あんぷらぐど」をはさんでのエピソード再開となる。
砂漠の惑星ゲヘナを支配する三王国のひとつであるカルダモン王朝の王子綾羅を暗殺しようとした犯人は自らバーンの名を名乗る。しかし、バーンはその時刻にはドラゴン退治に出ていたのでアリバイはある。それなのに彼を捕らえに来た警察官に対して自分がやったと嘘をつくバーン。彼の死刑が決定し、軍事刑務所ギスカル要塞に勾留される。アイスとフロスティは協力してバーンを救出しようとする。そして、そこに加わったのは自分を暗殺しようとした相手を知りたいと言う王子綾羅。ギスカル要塞ではバーンの相棒メルが真犯人と対峙していた。それはバーンの過去につながる影の男であった……。
シリーズの大きな流れとしては一応完結を見ているため、どうやら本巻以降は登場人物の過去に焦点をあてながら展開していく模様である。本巻のテーマは、人間として大切なのは名前だけの虚しいプライドよりもその中身であるということであろう。お人よしの死刑囚が自分に自信を持てるようになっていく描写などは児童文学のヤングアダルト的展開という感じがする。
ただ、私としては作者にはもっと大きな枠で世界を描いてほしいし、それだけの実力がある作家だと考えている。どうも作者はヤングアダルト文庫で書く時にはかなり禁欲的に読者へのメッセージを前面に押し出しているように感じられてならない。できればSFの壮大な面白さを若い読者に伝えるような作品をもっと書いてほしいと思うのだ。
(2001年8月7日読了)