「僕はイーグル1」の続刊。
国籍不明機による韓国旅客機撃墜事件は外交問題に発展し、全てが自衛隊の責任にされてしまう。マスコミもこぞって自衛隊を攻撃する中で、負傷した風谷は警察に旅客機撃墜の責任者として病院内に拘禁されることになった。さらに尖閣諸島に中国人が基地を建設する事件が起きる。海上保安庁の巡視船を攻撃する中国軍。しかし自衛隊の護衛船は首相の許可なしに反撃できない。国籍不明機に対する特別班が編成され、美砂生と鏡黒羽の女性二人もその中に組み入れられた。それを不満とする古参隊員により彼女たちを試す訓練が始まる。そこに現れたのは国籍不明機。そのスホーイを操る〈牙〉と名乗る腕利きのパイロットに対し、美砂生は敢然と立ち向かう。〈牙〉の正体は、そして空戦の結果は……。
青春群像を描くビルドゥングス・ロマンとして始まった本シリーズだが、主人公たちを成長させるための舞台として現実の世界を持ってきたため、彼らをとりまく状況などが生々しくなり過ぎてしまっている。正直なところ、自衛隊の敵となる韓国や中国の外交官たちの態度や平和運動家たちの様子、警察の姿勢などはデフォルメすればするほどかえって作者のタッチがヒステリックなものに感じられ、感心しない。実態よりもひどく描き過ぎていて、逆に反感すら覚えてしまった。ユーモラスな作品では有効な作者のデフォルメ技法も本書のようなシリアスな作品では逆効果ではないだろうか。
そういう意味では本巻はポリティカルフィクションの要素が強いのにその目的からは外れてしまってるというように思う。横山信義もそうだが、自衛隊を扱うとその反対勢力、特に平和運動者に対してヒステリックになってしまうのはなぜなのだろうか。作者もまた心のどこかで自衛隊を支持していることに対する後ろめたい気持ちでもあってそれを覆い隠すためにヒステリックにならざるを得ないということなのだろうか。もっと自信をもって描けばよいのにと思う。
(2000年8月17日読了)