「アンデッド・レディ」に続くシリーズ第3弾。
宿敵リマンズを倒すために軍のシステム室へ侵入したグランドだが、彼はそこで新たな敵と遭遇する。それは電脳ウイルスのノイズ。ナノマシンとして進化していったノイズは機械化されたもの全てを冒し、人類を支配することも可能である。グランドとリマンズはノイズに対するワクチンソフト、エレンが存在すると思われるスペースコロニー、エラルドへの侵入を捜索するようノイズに指示される。エラルドはかつて人間が開発した自己進化型の戦闘マシン、マウスが支配しており、侵入して生きて帰ってきた者はいない。グランドはノイズの野望を阻止することができるのだろうか。
第1部完結編ということだが、グランドの抱える秘密が完全に解き明かされる訳ではない。戦いの結末にも不満は残る。なんとか決着をつけるために書き急いだという感じかな。
しかし、これまでの2巻よりも本書は格段に面白い。それは主人公を傭兵にしたことにより「戦争」というものの虚しさがストーリー展開の中で浮き彫りにされるような構成になっているからだろう。グランドたち傭兵もマウスも、そしてノイズも戦争のために必要となった存在である。そのような存在が平和な世の中になった時に不必要とされていく。彼らは時分たちの存在意義を探すために戦わなければならない。その戦いの虚しいこと。そうした虚しい戦いを細かく描きあげることにより、作者のメッセージはより強く読み手に伝えられるというものだ。
やっとのことでグランドというキャラクターに陰影もついてきたことであるし、またその秘密も描くべきだと思うし、できれば第2部も続いて刊行されることを願っている。
(2001年8月29日読了)