「巨人がプロ野球をダメにした」に続く、野球コラムの第2弾。2000年から2001年までの間に「週刊ベースボール」や「東京中日スポーツ」に書かれたものをまとめている。さらに、10年前に書いた長嶋監督の再就任を懸念した文章と、19年前に書いたプロ野球が面白かった頃を活写した西武ライオンズに関する文章を再録し、現在のプロ野球がかかえている問題点をさらに強く浮き立たせるようにしている。
昨年1年間、プロ野球がどのように危機的状況を迎えるようになったかということを、ある時はひとつ一つのプレーを通じ、またある時はフロントの失態を指摘し、コミッショナーの無責任を追究し、徹底的に読み手に突きつけてくる。
ここで問われているのは、前著同様「フェアプレー」という考え方について、日本のプロ野球がいかに鈍感であるかということである。イチローや新庄が米大リーグで活躍していることの方が日本のプロ野球よりも熱く報道される理由もまた、本書では明らかにされている。
そして、読後に残るのは著者の日本プロ野球への愛情である。日本のプロ野球に関わる人たちは幸せだといわざるを得ない。なぜなら、まだここまでプロ野球のことを真剣に考えてくれる識者が存在するのだから。
誰よりも、日本プロ野球機構のコミッショナーと読売巨人軍オーナーに読ませたい一冊である。
(2002年3月1日読了)