読書感想文


ランブルフィッシュ3 場外乱闘恋心編
三雲岳斗著
角川スニーカー文庫
2002年3月1日第1刷
定価590円

 「ランブルフィッシュ2 中間試験暴走編」の続刊。
 瞳子と沙樹の所属するD班の班長、深条海里は過労で倒れてしまい、彼の指名で瞳こが班長代理に選ばれてしまう。慣れぬ仕事をこなしながら次の試合の作戦を練る二人。その相手はA班のベゼリィ。このRFは多数の小さな玉を空中にとばしてまるで結界のようにRFを守るという完全な防御を誇るマシンであった。しかもベゼリィの搭乗者、貴城史は瞳子に憧れを抱いていて、沙樹の乗るガンヒルダを倒したら、沙樹が瞳子の部屋から出ていくように要求する。そんな中、豪雨による洪水の被害者を救出するよう恵里谷の生徒たちに出動要請がくる。沙樹と瞳子がとった大胆な救出方法とは。そして、ガンヒルダとベゼリィの試合の結果は……。
 本書では学園青春ドラマらしく物語のメインに恋心が扱われる。定石をおさえながらも、その恋心の裏にある心理などにも踏みこんでいて、単なるラブコメにならないところが作者のうまいところ。しかも、そのエピソードはメインのストーリーにしっかりと組みこまれていて浮き上がることもない。さらに救助シーンや試合のシーンなどもRFという空想の産物にリアリティをもたせるように細かいところまで書きこんでいる。
 本書ではRFの兵器としての側面よりも実用性のある作業機械の側面を押し出している。ここらあたりは「パトレイバー」の影響があるのかもしれない。となると、ストーリーは否応もなく学園から飛び出さざるをえなくなるだろう。そうなった時の主人公たちの変化がどうなるのか。そんなはるか先のことまで想像させてしまうほど、楽しいシリーズになってきた。

(2002年3月10日読了)


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