「竜の封印」に続くシリーズ第2巻。
麻生まな美たちM高校歴史部一行は、徳川家康の墓所をテーマに文化祭の展示を行おうと、日光東照宮まで調査に出かけていた。部員の土門巌の親戚である骨董店の娘、幸子の案内で調査は順調に進むが、彼らを神の領域に触れさせないでおこうとする火鳥竜介は即座に日光に駆けつけ、彼らの質問に答えながら論点をずらそうと試みる。日光で行われていた男性アイドルグループのコンサートで起こった事故、迷宮入りしていた殺人事件の真相などが彼らの周辺にからんでくるが、それは神の残した謎の核心に迫るキーワードとなっていた……。
前巻同様、歴史の裏側に隠された謎を登場人物たちが問答することで解き明かしていく構成になっている。本来ならば、その周辺で起きている怪事件の動きを丹念に描く中でその問答が少しずつさしはさまれるというのが小説らしい物語の運びということになるのだろうが、本書はそういう意味では小説のスタイルになっていない。また、歴史の知識にやたらくわしい高校生たちと大学教授が打々発止とやり合うというのもあまり自然な運びではない。
ここで作者はこのシリーズをそのまま続けるのに苦労したのだろうか、続巻が刊行されるまで1年半の歳月を待たなければならなくなる。謎を解くための鍵は本巻までの2冊でほぼ出そろった。次巻こそ小説らしい展開になることを期待している。なぜならば、古代の神々に隠された謎の解読という部分でいえば、けっこう魅力的な解釈をしているからだ。ストーリーテリングさえちゃんとしていれば、その魅力が際立つだろうと思うのである。
(2002年6月18日読了)