「ローマは一日にして成らず[下]」の続巻。
本巻では、第一次ポエニ戦役の様子が描かれる。シチリア島をめぐり、陸軍国ローマが海運国カルタゴと戦い、これをしりぞける。地中海は自分たちの庭と過信するカルタゴに対し、敗戦から得た教訓を生かしていくローマ。その対比がわかりやすく示される。名将ハンニバルの父、ハミルカルとローマの執政官たちの駆け引きの妙など、学校の教科書では数行で示される内容が、詳細に記される。ドラマとしての歴史の面白さがここにはある。
本書の面白さは、第一次ポエニ戦役の戦記物にとどまらず、戦後のローマの活動やカルタゴの動向などにかなりのページがさかれていることだ。それは第二次ポエニ戦役が起こるべくして起こったものではないということを示しており、またローマという国家がなぜ発展していったかの鍵を握る部分でもある。
次巻では第二次ポエニ戦役の様子が語られることになる。そして、それはハンニバルの本格的な登場にもなる。どのようにハンニバルが描かれるのかが楽しみである。
(2002年7月3日読了)