「宙都 第二之書」に続くシリーズ第6弾。
ハワイにいる阿川真知と暮間清治を拉致した危機管理委員会の医師、加藤は、藤島美枝が「青の民」で、そのために暮間の体に青い鱗が生えたのだと説明する。彼の言葉によると、美枝たち「青の民」は人間にとって危険な存在なので、これを根絶やしにしなければならないのだという。彼らは美枝の夫、四郎も拉致し、それを餌に彼女をつかまえようとするのであった。一方、香流たちは、舞鶴で闇の神官が若者を洗脳するのを目撃した男を京都で助ける。その男、五十嵐はジャーナリストであり、その事実を一刻も早く東京に知らせたいと願っていた。忍び寄る敵の手から守ってくれる新しい神の存在とは……。
本巻では、主人公たちが少しずつ窮地に追いこまれていくところが描かれる。その手段はかなり露骨になってきており、敵方があせっていることを連想させる。が、それに対して主人公たちが打つ手を持たないという現実もあり、物語の今後の展開は予断を許さない。相変わらず、ゆっくりとしたペースではあるが、物語は着実に進んでいる。伝奇アクションの面白さよりもオカルト的な感覚が強まってきているのが気になるが、SF的なアイデアも匂わせており、新たな神「風神」の正体をどのように明かしていくのか楽しみになってきた。
(2002年7月20日読了)