読書感想文


黒白の絆
封殺鬼 24
霜島ケイ著
小学館キャンバス文庫
2002年9月1日第1刷
定価533円

 「炎華の断章」に続くシリーズ第24巻。
 天狗の配下となった少女、相原理緒が自ら傷つけた腕から流れる血が、新宿に魔物を集めていく。弓生と聖、そして三吾は新宿にできた黄泉の国の裂け目をふさぐべく、理緒を探し求める。天狗の配下、黒月に見張られる成樹も、自分の体についている四天鬼を駆使して魔物を追い払いながら、理緒のもとへと急ぐ。さらに、佐穂子と千冬も聖たちを見つけ出し合流する。瀕死の状態にありながら血を流し続ける理緒。彼女はもう誰の言葉も聞こうとしない。そこに現れたのは柿色の衣を着た謎の鬼。この鬼の正体とは。またその目的は何か……。
 ストーリーが大きく動いた。天狗よりも強い存在として登場した謎の鬼の姿が少しずつ見えてくる。また、弓生たちをめぐり、三吾や佐穂子たちも大きく変化していく。今後の展開次第では、日本神話に星をめぐる物語がほとんどないという謎を解読することにもなりそうだ。それこそが伝奇小説の醍醐味なのである。天狗との最終的な決着が確実に近づきつつある。クライマックスはこれからなのである。

(2002年8月24日読了)


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