読書感想文


大唐風雲記3 The Last Emperor of 漢
田村登正著
メディアワークス電撃文庫
2002年9月25日第1刷
定価570円

 「大唐風雲記2 始皇帝と3000人の子供たち」に続くシリーズ第3巻。
 安禄山の反乱を鎮めるためには優れた軍師が必要と考えた則天皇帝は龍導盤の力で三国時代にタイムトリップし、諸葛孔明を唐の時代につれてこようとする。もちろん履児、麗華、李白、楊貴妃らもいっしょである。そう簡単に孔明に会えないとわかった彼らは、後漢末期の長安に飛ぶ。そこで戦乱の中を逃げまどう孔明を助け出し恩義を感じさせて唐の時代に連れていこうという作戦である。ところが、彼らが救ったのは孔明ではなく漢の最後の皇帝である劉協の皇后であった。協皇帝を守る若い勇士大龍と小龍は彼らと合流、彼らは協皇帝を曹操将軍のもとに連れていく手助けをすることになる。果たして皇帝脱出作戦は成功するのか。そして若き孔明を見つけ出すことができるのか。
 今回、主人公グループは完全に狂言まわしとなっているといっていい。主役は大龍と小龍の二人であり、履児たちはその手助けをするにとどまる。
 前巻の感想で書いたが、本巻はまさしく三国志の裏面史というべき内容であり、そのあたりのアイデアの面白さは買える。ただ、大龍と小龍の正体は物語の途中でほぼ見当がついてしまうし、龍導盤の使用法もかなり安易な印象を受けた。またシリーズ中最も伝奇色が薄く、これならばシリーズの1冊である必然性に乏しいのも事実だ。
 私個人の希望をいえば、一度シリーズは完結させ、新たな設定で若者にも親しめる中国史小説を作り上げてほしい。今回のような役回りであれば主人公グループは不在でも特に問題はないように思う。このシリーズをどのよう形で締めるのか。タイムトリップを使えばいくらでもエピソードは作れるわけだから、それだけに難しくなるのではないだろうか。

(2002年9月19日読了)


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