「ブルー・マスク」に続く完結編。
屍刑四郎に託された〈鬼人面〉の力を抑える〈封じ面〉が暴走をはじめ、あるホームレスにとりついた。〈鬼人面〉はドクター・メフィストがその力を利用して治療をしようと保持する。これらよりも強い面を持ち出して収拾をはかろうとした小西みかげもまた最強の面にとりつかれてしまう。メフィスト医院に3つの面が集まり、さらに最後に勝った者から面を奪おうとする小西宗之も乱入する。人探しの依頼者、左京恵里を暴力団の手から救った秋せつらは、〈殺生面〉をかぶる左京良彦を追う。良彦もまたメフィスト医院に現れ、面同士の壮絶な戦いの火蓋が切られた。魔力を持つ面をめぐる壮絶な戦いの結末は……。
〈殺生面〉をかぶる左京夫妻は、権力に魅入られた男の手により、理不尽な死を与えられた。弱者が強者に蹂躙されるのが〈魔界都市〉新宿の掟だが、作者は弱者の強者に対する復讐を心をこめて描いている。一見残酷にとられがちなスーパー伝奇バイオレンスではあるが、ただただ残酷なだけではこれだけのシリーズを書き継いでいけるわけがない。作者のこういったまなざしがあるからこそ、このシリーズは多くの読者の支持を得ているのだと思う。
ラストシーンの詩情あふれる余韻が、この作品のテーマを明確に示していると言えるだろう。
(2002年10月6日読了)