「四季折々」に続く第2巻。
タイトル通り奇想天外な発想の落語を収録。
演目は「地獄八景亡者戯」「伊勢参宮神乃賑(煮売家〜七度狐)」「天狗裁き」「小倉船」「骨つり」「こぶ弁慶」「質屋蔵」「皿屋敷」「犬の目」の9本。
ここでの読み物はやはり「地獄八景」。解説で堀晃さんも書いているが、こうやって活字で読むと、この大ネタの構成というものがはっきりとわかる。例えば「皿屋敷」はメインとなるお菊さんの登場から後の方が実は短かったりすることもわかる。
それにしても落語の発想のおおらかさ、あほらしさには感心させられる。「小倉船」など、フラスコに入って海底に沈み、そこで竜宮城に行くという話であるが、ジュール・ヴェルヌもびっくりである。「犬の目」は、眼病の患者の目をくりぬいて洗浄してから嵌め込むという大胆な治療法にあきれ驚く。
何度も実演やCDなどで聞き覚えた落語ばかりだが(「七度狐」など米朝一門の前座は必ずといっていいほどやるからねえ)、あらためて活字にしたものを読むとその面白さのキモがどこにあるのかを理解できるように思う。
上方落語を聞いたことのない人、いや、落語そのものに興味のない人こそ読んでみてもらいたい。一読すれば、たちまち実演を聞きたくなるであろう。
(2002年10月12日読了)