「灼熱の竜騎兵 1」の続巻。親本の富士見ファンタジア文庫1冊分に物語の舞台設定の解説を加えて1冊に収録している。
地球軍の大元帥デリンジャーはクーデターを敢行、地球政府は狂気の独裁者の手にゆだねられる。惑星ザイオンの地球軍司令官ステッツァ中将はクーデターの計画をデリンジャー元帥より知らされていなかったため、その寵愛を失ったものと思い、なんとか成果をあげようと深紅党の壊滅をはかろうとする。一方、純白党の総書記、アルマン・リビエールを影で操ろうとする党保安部長ゼラーは、うろたえるステッツァを利用して地球軍、そして仇敵ギイ・リビエールを同時に葬り去り自分がザイオンにおける実験を握ろうと策動していた。そんな中で、深紅党の面々は、知力を尽くしてこれに対抗し、着々と支持基盤を固めている。果たしてザイオンに真の平和が訪れる日が来るのだろうか。
未完である。初刊から10年以上たった現在も、まだ未完である。あまり邪推をするのもなんなんだけれど、作者はこの物語の結末が見えた時点で、物語を完結させる熱意を失ってしまったのではないだろうか。この未来史は、付録についている年表を見ればわかる通り、綿密に練り上げられたものである。風呂敷を広げ過ぎて収拾がつかなくなったというのではない。逆にあまりにもきっちりと構築され過ぎているのだ。結果はわかっていて、あとはどのような過程でこの物語を遂行していくかしかないのである。この間、作者は次々と新しいシリーズを立ち上げている。興味はそちらに移り、こういった形の未来史に対する情熱が薄れてしまったとしても不思議ではない。
現在、後半部分で示された設定資料をもとにしたシェアードワールド・シリーズを、小川一水が書きはじめている。おそらく、他の若手作家もまたこれに参加することになるだろう。物語は、作者の手を離れた。しかし、設定は作者のものである。そして、この物語それ自体の決着はついていない。読者としては、いささかいらただしい気もする。未完なら未完でいい。しかし、しり切れとんぼのような形ではなく、あとは読者の想像に任せるような形の未完であってほしいのだ。
(2002年12月23日読了)