読書感想文


クラッシャージョウ8
悪霊都市ククル 上
高千穂遥著
朝日ソノラマ文庫
1989年11月30日第1刷
定価427円

 ナタラージャ教団の秘宝〈舞踊王の右手首〉が盗まれた。盗んだのは「目利き」の異名をとる裏の美術商フェンス。彼は惑星ローデスのラダ・シンに〈舞踊王の右手首〉を渡す。〈舞踊王の左手首〉と合わせた時、秘術により舞踊王が来臨するという。ラダ・シンはこの秘宝を使い、惑星ローデスを秘儀を用いて支配する。教団の依頼で秘宝を奪還しにきたジョウたちクラッシャーは、いきなりゾンビから逃げ回る少女ミミーと遭遇する。彼女は地下都市ククルのかつての支配者マドック・ザ・キングの一人娘だった。秘術を完成させるためにミミーを狙うラダ・シン。故郷ククルでかつてのチンピラ仲間と再会したクラッシャーリッキーは、ミミーとともに行動する。秘術でゾンビにされた人々との壮絶な戦い、そして窮地に陥るクラッシャーたち……。
 7巻までの展開と比較すると、かなり伝奇的要素が濃くなっている。つまり、この時期から作者の指向するものがスペースオペラから格闘技ものに、そして伝奇アクションにと移っていっているのである。したがって、さしものクラッシャージョウも、オカルティックな敵にはなすすべがない。上巻ではただただ逃げまわるのみというヒーローらしからぬ状態である。ここまでの展開では、スペースオペラと伝奇アクションの融合はあまりうまくいっていないという印象を与えるのだが。下巻でどうまとめるか、というところ。

(2002年12月29日読了)


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