「天使の憂鬱」に続くシリーズ第2巻。
侵略の妨害になるダーティペア抹殺のため、妖魔は薔薇十字学院の修学旅行の時を狙って二人を襲うことに決める。宇宙船の中でなら、二人は脅威的なサイコ・パワーを使うわけにはいかないからだ。次々とあらわれる妖魔に対し、力をコントロールすることができないユリとケイ。それでもサイコ・パワーを使用した際に、別次元につながる穴を空けてしまう。そこから現れたのは産まれたばかりの子犬のような動物だった。ゴンタと名づけられたその子犬は実は魔界の猛獣ケルベロス。さらには転入生としてヨーガの秘術を使うインド青年ディーバも妖魔退治に参入し……。ダーティペアはどうやって妖魔と戦うのか。
本書では、地の文で作者がダーティペアをくさすと、それに対して返事をするギャグなど、あれこれと新機軸を打ち出している。しかし、それならそれで徹底的にやらねばならないと効果がないと思われる。どうもこの新シリーズでは作者がヤングアダルトの若い書き手を意識し過ぎてあれこれと試みているのだがそれがあまりうまくいっていないという感じがする。作者こそがこのジャンルの創始者なのだという意識をもってスタンダードな書き方をするか、このジャンルをぶち壊すくらいのことをやるか、どちらか徹底してほしかった。オリジナルの「ダーティペア」を一番引きずっているのが作者なのかもしれないという印象はぬぐいがたい。
(2002年12月31日読了)