読書感想文


ダーティペアFLASH 3
天使の悪戯
高千穂遥著
ハヤカワ文庫JA
1999年9月30日第1刷
定価540円

 「天使の微笑」に続くシリーズ第3巻。
 宇宙船の飛行訓練をさぼってゴンタと遊ぶケイとユリ。しかしケルベロスのパワーを持つゴンタとの遊びはどんどん過激になり、学校の施設を一部破壊してしまった。逃げるようにして訓練に戻った二人だったが、破壊された施設ではローゼンクロイツ財団が秘密の微少鉱石生産プラントを建設していた。そのプラントをのっとったのは妖魔。妖魔は宇宙海賊をゾンビ化してプラントを占領、同時にダーティペア抹殺作戦を実行しようとする。小惑星に不時着した二人はピンチをいかにして脱するのか。そしてプラントをのっとった妖魔のねらいは……。
 宇宙SFのアイデアと、伝奇アクションの要素をうまくからめ、一定の水準で書かれてきたこのシリーズも、本書以降中断してしまっている。もともとOVA企画が先行していたというから、OVAが順調に続かなければ小説も売れず、中断のやむなきに至ったのは仕方のないところだろう。
 結局は「ダーティペア」のフォーマットを使用してしまったところにその理由は行き着くのだと思う。SFとしての水準は決して低くないだけに、もったいない話ではある。どこかで別の形で再挑戦してみてほしい素材である。

(2002年12月31日読了)


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