「宮本武蔵 二」の続巻。
お通と城太郎は伊勢にいた。巫女となるべき少女たちに笛を教えるお通。しかし、伊勢路を旅する武蔵とはまたもやすれ違いとなる。武蔵は旅の途中で宍戸梅軒と出会い、試合を申し込むが、梅軒は実は武蔵がかつて倒した野武士、辻風典馬の弟であった。梅軒は武蔵の命を狙う。すんでのところで逃げ出した武蔵は、吉岡清十郎との対決のため、京へ急ぐ。京では、清十郎のもとから逃れた朱実が、今度は小次郎につかまり、愛人にされてしまう。小次郎のもとから逃げ出した朱実は、五条大橋で又八を待つ武蔵と再会する。武蔵を恋する朱実がその思いを打ち明ける姿をお通は目撃してしまう。お通が嘆き悲しむ間に、武蔵の姿は消えていた。一方、又八は小次郎の名を騙っていたがついに本物の小次郎に出会ってしまう。そして、武蔵はいよいよ清十郎との対決に向かうのである。
多数の人物が出会い、別れ、戦うというストーリーは確かに波乱万丈ではあるけれど、その出会いや別れをとにかく念入りに書き込むために、肝心のストーリーがなかなか進まない。本巻でやっと清十郎との対決となったわけだが、そこにいくまでかなりじれてしまったのも事実である。新聞連載をリアルタイムで読むならばそれでよいのだが、まとまったものを半世紀後に読んでいるわけで、そういう意味ではリアルタイムで楽しめない私たちが不幸なのかもしれない。
(2003年1月17日読了)