「宮本武蔵 六」の続巻。
又八は奈良井大蔵に脅されて井戸掘り人夫として江戸城に潜りこみ、決められた松の根方に埋められた鉄砲を用いて将軍秀忠を暗殺するという大役を引き受けてしまう。小次郎は同門である小野忠明の道場に現れ兄弟子を屈服させて悦にいっている。武蔵の姿を見つけた宍戸梅軒とそこに身を寄せていた祇園藤次とお甲は武蔵を急襲する。危機一髪の武蔵を助けたのは夢想権之助であった。梅軒と藤次を殺した武蔵は、奉行所に自首して出るが、宝蔵破りの盗賊と間違われて勾留されてしまう。ひとりぼっちになった伊織は大蔵とその息子となっている城太郎がたくらみごとをしているのを盗み聞きし、城太郎の後を追う。図らずも兄弟弟子が出会い、武蔵の草庵に帰ることにするが、そこには沢庵が待ち受けていた。大蔵の悪巧みを全て沢庵に打ち明けた城太郎は、沢庵に実父青木丹左の居場所を知らされ、父のもとへと去る。悪巧みが露見した大蔵は逃亡、江戸城の又八と大蔵にかこわれていた朱実は百叩きの罰を受ける。伊織とお通の関係が明らかになり、物語はいよいよ佳境に。
物語を収束させるためか、これまで登場してきた数多くのの人物たちが次々と現れてそれぞれの運命に決着がついてくる。それがあまりにも一気に進んでいくので、かなり作為的なものを感じてしまう。大河長編の場合、たいていは物語が進行する中でそういったものの決着は自然につき、それらのエピソードは1本の筋に収斂していくものなのだが、この物語は、どうもそのあたりの落ち着きが悪い。本筋になんらかのつながりはあるのだが、なにかとってつけたような感じになってしまっているのだ。読者を喜ばせるためにしたサービスが横にそれてしまったので、なんとか強引に本筋に引き寄せたというような印象を受けるのである。だが、どういう形でも、結末に向けて人々が大きく動いているというその流れは感じさせてくれるのである。
(2003年1月19日読了)