読書感想文


玉響に散りて
封殺鬼 25
霜島ケイ著
小学館キャンバス文庫
2003年3月1日第1刷
定価524円

 「黒白の絆」に続くシリーズ第24巻。
 弓生と聖をめぐり、「本家」の神島と御景が対立する中、神島の当主、達仁が臨終の時を迎える。彼の遺言は、使役鬼を「本家」の鬼使いから解放せよというもの。この結果、「本家」内で争う理由はなくなり、凶星に対して戦う体勢が整い始める。また、秋川家を飛び出した佐穂子は、かつて家を捨てた父親寛之のもとを訪れ、次期当主の座を父に返すと宣言する。寛之はこれを受け入れ、秋川家も安定した方向に向かいつつある。凶星に対抗する手段はただひとつ。石上神社にある剣を使うこと。しかし、剣の位置を動かした場合、剣が抑えていたものが解放され、大惨事が引き起こされる可能性があった……。
 凶星との戦いを前に、対立を余儀無くされていた人々が和解をする方向に動く。つまり、本巻は物語が収束していく過程であり、これにより、いよいよクライマックスの下準備ができたと見るべきだろう。しかし、「本家」と「中央」の関係はまだ不安定であり、その分今後の戦いも一筋縄ではいくまい。鬼使いから解放された鬼たちの動きがどう変わっていくか。お楽しみはこれからだ。

(2003年2月19日読了)


目次に戻る

ホームページに戻る