「素浪人宮本武蔵 二 青狼の篇」の続巻。
甲府では自然和尚の世話になりながら、高田屋の女将、お佑を抱く武蔵。舟木丹波と名乗る武芸者と、久々に果たし合いをして、精神面の未熟さを思い知った彼は、甲府を離れて再び旅に。諏訪では黒石屋という黒曜石を扱う店に世話になる。黒石屋の主人仙右衛門には熊五郎という弟がいて、あたりを取り仕切る博徒の親分であった。博徒たちのケンカに巻きこまれるような形で剣をふるう。ここでは熊五郎の愛人、お葉、そして熊五郎の娘で心中の生き残りであるお成の体を楽しみ尽くす武蔵であったが、熊五郎に対抗する塩尻一家の頭、庄蔵を倒し、諏訪を去る。妻籠までの道中で伴となった娘、お新は、実は庄蔵の娘であったが、庄蔵の子分を倒した武蔵に抱かれる。加納の宿で松田左馬介という武芸者と果たし合いをした武蔵は、一路京の都へ。
本書では、神徒と仏徒の戦いが歴史を動かしてきたという説が開陳される。黒石屋の言葉として語られるこの説は、作者の代弁となっているものだろう。神徒の信長は、仏徒の秀吉にとってかわられ、その天下を奪い返したのが神徒の家康だというのである。そう単純に対立軸をとるのも危険ではあるが、今後、この説が物語にどう影響していくかが見どころの一つとなるだろう。
それ以外は、これまでと同様、人を斬っては女を抱くという繰り返しの武蔵ではある。こんな調子で全十巻通すとしたら、それはそれですごいだろうが、なにかアクセントがほしいところではある。
(2003年3月8日読了)