読書感想文


新・魔獣狩り 8 憂艮編
夢枕獏著
祥伝社 ノン・ノベル
2003年5月20日第1刷
定価819円

 「新・魔獣狩り7 鬼門編」に続くサイコ・ダイバー・シリーズ、第19巻。
 黒御所−空海は女性に餓蟇の術をほどこすことにより、毒島獣太を殺そうとするが、獣太はすんでのところで危機を脱し、美空の協力を得て黒御所−空海の手から逃れた。空海が復活したことを毒島から聞かされた美空は、陰陽師ひるこも加えて九門鳳介のもとを訪れる。しかし、黒御所−空海は、様々な手を使い、有堂岳や金犬四郎らをとらえようと画策していた。鳳介たちと黒御所−空海との戦いが始まろうとしている。
 本巻では、ところどころに歴史上の事件の場面が挿入され、東北の黄金や鬼道の秘密の一端が示される。これにより、このシリーズの伝奇色がさらに強まったといえるだろう。これにより謎が深まり、物語の世界が広がっていっている。欲をいえば、もう少し出版のペースが早い方がいい。なにしろ本巻は前巻からほぼ2年ぶりの発行なのである。
 じっくりと腰をすえて面白いものを書いてほしいと願っているが、やはりあまり間があきすぎるのも読者としてはきつい。悪くとも1年に1くらいのぺーすにまでは縮めてほしいものである。

(2003年6月4日読了)


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