「阪神タイガースの正体」を補完する一冊。
弱い阪神タイガースのファンであり続けてきたものが、2003年のシーズンの快進撃に喜びつつも、戸惑いを隠せない。タイガースは本当に生まれ変わったのか。生まれ変わったタイガースを今後も応援し続けられるのか。今年の強いタイガースを見てファンになった者は、来年以降もしまた弱いタイガースに戻った時にどのように接していくのだろうか。
タイガースファン歴の長い著者が、自分の心境と、おそらくは共感するであろうタイガースファンの心理をタイガースの歴史を踏まえつつ、東京と地方の関係が変化していった結果生まれた全国的な「タイガース・フィーバー」を分析する。
著者の心境は、私にも共通するものである。弱いタイガースを応援し続ける自分に対して、なにか理由づけをせずにはいられず、それを東京対大阪という図式や母性的な愛情に求めたりしていた。しかし、2003年のタイガースにはそれはあてはまらない。ならば、強いタイガースを応援し続ける理由を無理にでもひねり出し、昨年までの理由との間に整合性をもたせればよいのだ。そうしてできたのが本書だといえるだろう。
東京が日本の中で絶対的な位置を占めた時、一地方都市と成り果てた大阪の文化の流入を東京は許容していくようになったと、著者は説く。
感情に流されないように気をつけつつ、著者は客観的にタイガースファンの心理をとらえようとする。しかし、どうしても行間からタイガース快進撃に対する戸惑いがにじみ出てくる。だからこそ、同じタイガースファンである私に共鳴するものがあるのだろう。
現時点での昔からのタイガースファンの複雑な心境をもののみごとに解明した好著である。
(2003年8月9日読了)