読書感想文


KLAN VII 暗闘編
田中芳樹原案
白川晶著
集英社スーパ−ダッシュ文庫
2003年9月30日第1刷
定価476円

 「KLAN  VI 策謀編」の続巻。
 麗汎にリンフォード伯爵から持ちかけられた取引は、お台場にカジノ建設を作る話。経済産業大臣と提携しているリンフォードに対し、麗汎は東京都知事と手 を結ぶつもりでいる。しかし、リンフォードがどういう罠を仕掛けているのかを知りたい麗汎。一方虎ノ介は麗汎の機嫌を損ねてしまったと思い、家に帰りづら くなったところを伯爵の秘書ジョアンナと偶然出会い、夕食をごちそうになる。虎ノ介を殺そうとたくらむジョアンナは友好的な姿勢を装うが、アリョーシャの 古い仲間であるユジンスキーに助けられる。しかし、そのためにユジンスキーはリンフォードに目をつけられ、殺害されてしまう。怒りに燃えた虎ノ介たちだ が、パワーアップした伯爵の前に歯が立たない。居場所も知られた虎ノ介たちは麗汎の住む香港に逃れる。
 特にヤマとなる派手な戦いもないままに、物語は淡々と進む。これまで明らかになっていなかったというか、矛盾をはらんだまま展開していたストーリーに対 して、著者は本巻でいろいろと矛盾を解消するための説明や修行のシーンを入れている。そういう意味では、シリーズとしては必要な展開なのかもしれないけれ ども、一冊の本としてのおもしろさに欠けるのは否めない。
 これまでは小説中心の書き手が担当していて、多少の矛盾には目をつむって物語のおもしろさを追求していた。それに対し、本巻の著者はライターとのこと で、方向性が変わってしまった。ここらあたりがリレー小説のおもしろさであるが、統一感という点でここまで書き手に左右されるのはどうかという気もする。
 本巻はいわばダレ場。次巻には大きな転換を期待したい。

(2003年10月20日読了)


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