「蓬莱洞の研究」に続くシリーズ第2巻。
私立田中喜八学園高等学校の民俗学研究部員、諸星比夏留は、学園の森の中に隠された禁断の洞窟に入ってはそこに秘められた秘密……邪馬台国の真の場所、はどこかなど、様々な謎に強烈な食欲と古武術で体当たりしていく。
前巻同様、奇抜なキャラクターを存分に動かしている。伝奇的なアイデアも非常に面白い。難点があるとすれば、その優れたアイデアが、次々と繰り出される駄洒落に埋没してしまうことだろう。本書の与える脱力感は、これまでの作者の作品と比較してもかなり強烈である。
そういう意味では、せっかくの伝奇ミステリが駄洒落によって全くの別物になってしまっているといえる。かなりもったいないことなのではないかと思うのである。まるで強迫観念があるかのように繰り出される駄洒落。それは作者の持ち味でもあるのだが、本書ではそれが裏目に出ているように感じられるのである。
(2003年11月14日読了)