「『分かりやすい表現』の技術」の姉妹編。
本書は、タイトル通り、「分かりやすい説明」をするための方法を、分かりやすく書いたものである。巷にあふれる「分かりにくい説明」を具体的に例示し、それをどのように改善すれば「分かりやすく」なるかを示している。
著者によると、ポイントは15ある。それをまた分かりやすく分類すると以下のようになる。
基本編
1.「聞き手」への配慮をする。
2.情報を整理し、具体的な説明と抽象的な説明のバランスをとる。
3.説明もれをなくす。
4.キーワードを用いて情報の構造を明らかにする。
応用編
1.比喩を用いながら、論理的に話す。
2.「聞き手」の注意をひき、常にリードしてやる。
3.同じ説明を何度も行うことによる「馴れ」に気をつける。
こういう本を読むと、自分の授業に工夫がなかったと痛感する。これを頭に入れておいて次回の授業から役立てられればよいのだが。
もっとも、本書は文学的な方面を想定しては書かれていないので、書評に本書の「技術」を導入したらかえって含蓄がなくなってしまうな。あくまで「説明」の技術である。とはいいながらも、哲学の解説書などは研究者に本書を読ませて、過去の著書を書き直させたいと思ったりもするのだが。
姉妹編同様、まことに実用的な本である。あまりに実用的すぎてブルーバックスらしくないのである。ブルーバックスなのにこんなに増刷されているのは、それだけプレゼンテーションに苦労している人が多いのだろう。
(2003年12月11日読了)