「KLAN
VII 暗闘編」に続くシリーズ第8弾。本巻は外伝である。
リンフォード伯爵のもとに庇護されていた時代のアリョーシャを描く。彼はまだクランの血に目覚めておらず、伯爵のいうままに暗殺を手掛ける手駒でしかなかった。しかし、オシロフ博士を暗殺した時に、それを目撃した助手の少女ヴェスナに恋をする。伯爵の命令で日本に行っている間に、ヴェスナに接触したのは伯爵の片腕であるミス・モルレーであった。彼女はヴェスナの素性を探り、アリョーシャの初恋の危険性を察知する。アリョーシャは、日本で虎のクランである加藤老人と対峙し、クランの基礎知識を知らされる。アリョーシャの胸に芽生えた殺人への疑念は……。
なぜここで外伝をはさむのか。そこらあたりの意味が私にはわからなかった。本編は現在の書き手が続け、外伝は他の書き手にゆだねるという形で本編を先に進めてほしいところである。このリレー形式であれば、それも不可能ではなかろう。
また、内容に比べてページ数が多いようにも感じられた。外伝は、それぞれの主要な登場人物に関する短編を集めたものでもよかったのではないだろうか。
シリーズに人気がでてきたのでこういう形のものをはさむことになったのだろうが、この内容であれば、本編を中断してまで挟み込む必要もなかったのではないかと感じた。
(2003年12月24日読了)