「英雄三国志 三 三国鼎立」の続巻。
劉備の没後、蜀の丞相となった孔明は、三国鼎立の状態を保つため、南蛮国の孟獲と戦う。捕らえて殺すのではなく心服させるために、孔明は孟獲を七度とらえて七度放つ。もしここで孟獲を殺してしまえば、南蛮国の民は孟獲を伝説上の人物としてあがめ、蜀には決して従わないだろうという読みであった。しかし、この時点で孔明は労咳に冒されており、余命の少なさを本人自身が感じていた。魏との決戦に挑む孔明だが、街亭の戦いで先鋒を任された馬謖の勝手な行動により、孔明最大のライバル司馬仲達に惨敗してしまう。姜維という後継者は見つかったものの、この惨敗の原因を作った馬謖をあえて死罪にする孔明であった。
「英雄・生きるべきか死すべきか」と題されて上梓された第2部の刊行が始まった。本書の見どころは孟獲との戦いである。なぜ孟獲を七度とらえて七度放したか、作者の合理的な解釈が光る。さらに作者らしいのは「泣いて馬謖を斬る」の場面で、馬謖の才を惜しんで泣くのではなく、馬謖という人物を見誤った自分への情けなさと、その人間性を既に見抜いていた亡き劉備の言葉を軽んじていた愚かさに泣くのである。
まさに、作者ならではのクールな解釈といわねばなるまい。
(2004年5月28日読了)