読書感想文


英雄三国志 五 攻防五丈原
柴田錬三郎著
集英社文庫
2004年6月25日第1刷
定価724円

 「英雄三国志 四 出師の表」の続巻。
 いよいよ自分の寿命が尽きかけていると知った孔明は、なんとしてでも生きている間に魏の司馬仲達を倒しておかなければいけないと知力の限りを尽くす。また、受けて立つ仲達も孔明の作戦の裏を読み、虚々実々の駆け引きを繰り広げる。しかし、孔明はついに五丈原で病死してしまう。後継者として姜維を指名して……。
 本巻の読みどころは、孔明と仲達の知力の限りを尽くした戦いであろう。作者は将たちの心理を細かく描写しながら、その攻防を細部に渡って描き尽くしている。そして、その結果、若者はいつか年老い、次世代に託していくという現実を読み手に突きつけるのである。ただし、それは作者独特のクールな視点ではなく、どちらかというと感傷的な印象を与える。このシリーズが完結した翌年に作者がなくなっていることを思いあわせると、作者自身が寿命の尽きかけていることを悟り、孔明の最期と自分の死期を照らし合わせていたのかもしれない。
 次は最終巻。作者が自分の死後をどう考えていたのか、読み取れるような展開になっているのかどうか。

(2004年6月26日読了)


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