読書感想文


あそびにいくヨ!3 たのしいねこのつかいかた
神野オキナ著
メディアファクトリー MF文庫J
2004年5月31日第1刷
定価580円

 「あそびにいくヨ!2 作戦名『うにゃーくん』」の続巻。
 エリスは、嘉和騎央の学校に転校生として現れる。さらに「子猫の足裏」のリーダーアントニアとそのメイドたちも……。映像部に入部した彼女たちは、撮影の合宿に向かうが、そこに現れたのは地球産だと名乗る猫耳人だった。さらに、謎の敵からの攻撃も始まり、騎央たちは危機一髪……。
 あたらしいキャラクターの登場の他は、双葉アオイとエリスによる騎央をめぐる三角関係の描写や部活の情景などが描かれるだけである。作者はあとがきで「なーんもないお話」をやってみたかったと書いているが、たしかに「なーんもない」のである。しかし、物語に進展がなくとも、淡々とした日常を描きながら読者を退屈させないテクニックというものは必要なはずなのだ。残念なことに、本書はその域には達していない。つまり、ここで指摘したいのは物語の密度の問題なのである。何もない日常を描くことと、内容のない物語をただ書き連ねるのとは決定的に違うはずだ。テーマというものがないのが痛いのである。
 結局何か起こるためのつなぎという印象しか残らなかった。残念なことである。

(2004年7月6日読了)


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