「ユリウス・カエサル ルビコン以前[下]」の続巻。
かつては三頭政治の同盟者であったポンペイウスとの戦いの火蓋は切られた。ローマを脱出してギリシアに移動したポンペイウスと元老院派たち。ローマに入ったカエサルは、独裁官に就任し、ローマから逃亡した執政官たちにかわる新たな執政官の選出を決定する。むろん、ここでカエサルは執政官に選出された。執政官としてギリシアでポンペイウスと戦うカエサル。ドゥラキウム攻防戦で大勝したカエサルに対し、敗者のポンペイウスはエジプトにおもむいて捲土重来を期することにするが、エジプトの王子の側近たちは奸計を用いてポンペイウスを暗殺してしまう。ここにカエサルの最大のライバルは歴史の舞台から敢えなく姿を消すことになった。カエサルは彼に恭順を誓う振りをしながら逆に反乱を起こした王子とその側近と戦い、これを下す。この時、カエサルのそばにいたのはエジプトの若く美しい王女、クレオパトラであった。カエサルはローマへの帰路、外交問題を次々と処理し、いよいよ凱旋することになる。
政治家カエサルの本領が発揮された戦役が、ここでは展開される。カエサルは軍事の天才であったのかどうか。著者は、カエサルが政治の一環として戦略、戦術を立てたことを評価する。敵の陣地を攻撃するのにも、土木技術をフルに活用し、相手を不利な状態に追い込んでから、停戦交渉をするのだ。それでも戦いとなった場合は、兵士に戦後の身分を保障し、地域住民の安全と利益を保証することによって味方を増やしていく。その人間心理をたくみに利用した戦い方は、やはり政治家のそれである。
帝政ローマを創設し、クレオパトラとの愛に生き……という展開が次巻以降待っている。そのようなカエサルの進んだ道を著者がどのように評価していくのか。楽しみはまだまだ尽きない。
(2004年10月11日読了)