読書感想文


ばとる・おぶ・CHUCHU わたしのあなた
一条理希著
集英社スーパーダッシュ文庫
2004年10月30日第1刷
定価590円

 「ばとる・おぶ・CHUCHU 告白の園」に続く、シリーズ第4弾。
 前回の戦いで海水につかりひからびたような状態になってしまった吸血っ娘、ガレット。ガレットを救うために自ら血を与えたシャルロット。二人が弱っている間に、シフォンは単独行動をとる。ミルフィーユとブラウニーを率いて、聖白百合学園を襲撃するのだ。シフォンはなんと灰となったアンデッドたちを蘇らせた。その数およそ3000体。ゆかりが自宅に連れ帰られていてただでさえ戦力が弱まっているところにこの襲撃である。正太郎たちは必死で防戦するが、その数で圧倒されてしまう。シフォンの目的は正太郎をさらって自分の愛のパートナーとすること。あいとともにさらわれてしまった正太郎は、シフォンに対する永遠の愛を誓うように強いられるが……。
 シフォンという、これまであまり目立たなかった登場人物がいよいよ本領を発揮し始めた。吸血っ娘の内部分裂という状況が今後のシリーズ展開に与える影響は大きいだろう。
 ただ、惜しむらくは多数いる登場人物をまだ完全にさばききれていない。1冊ずつ活躍させるという方法をとっているのかもしれないが、この分量であればもう少しだけ密度を高くしてもかまわないのではないだろうか。もう少しテンポのよい展開であればと思わずにはいられないのだ。

(2004年10月20日読了)


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