「新・魔獣狩り8 憂艮編」に続くサイコ・ダイバー・シリーズ、第21巻。
文成仙吉は東北で猿翁と再開し、ついに黒御所=空海と対峙する。一方東京では毒島獣太、美空、ひるこたちが寿海老師を救出するために白井完のもとへ行くが、白井はドーベルマンに秘法を使い飛狗を生み出すことに成功していた。しかし、その飛狗は本来の方法を用いていなかったために白井への憎しみに満ちた怪物と化していた。獣太たちは怪物ドーベルマンと戦う。
空海の秘法である四殺を手中にしようと、愚かな男が怪物を生み出すところが本巻のクライマックスである。そして、仙吉が黒御所と出会うという、物語の中でも大きな意味を持つ瞬間も訪れた。にもかかわらず、ストーリーが大きく動いたという印象がもてないのは、怪物がただ生み出され、仙吉と黒御所がただ出会っただけで続きは次巻ということになってしまっているからである。そういう意味ではなんだかじれったい展開だといわざるを得ない。果たして作者があとがきで書いているようにあと3巻くらいで完結するのだろうか。
なお、本書には巻末に作者の著作リストが付されている。絶版や版元品切れも記されている他、漫画化されたものなども含まれた詳細なもので、こういうサービスはありがたいところだ。
(2004年12月11日読了)