「邪馬台洞の研究」に続くシリーズ第3巻。完結編である。
私立田中喜八学園高等学校の民俗学研究部員、諸星比夏留は、卒業していく3年生、伊豆宮からの手紙をもらい、夜の運動場に急いだ。朝礼台の下に、十字架洞につながる地下通路があり、伊豆宮と顧問の薮田がそこに行ったというのである。白壁、浦飯、犬塚ら他の部員たちもかけつけ、揃って十字架洞へ。その先には、なんと天照大神が隠れたという天岩屋戸があった。比夏留の友人で博学の保志野も後に続いて入ってきた。薮田は世界をもう一度やり直すために天岩屋戸を開けようとしていた。しかし、岩屋戸を守る田中喜八校長が現れ、薮田の計画を阻止しようとする。天岩屋戸に秘められた真実とは何か。比夏留たちが果たすべき役割とは……。
本格伝奇推理小説の骨格に、作者の駄洒落が組み合わさり、さらには某SF映画を彷佛とさせる衝撃の解決法が読者を待っている。そう、待っている。やあ、待ってましたか。いやいや、待ってたんですねえ。
もうここまできたら何をしてもいいのだ。これが田中啓文だ。おなじみの脱力感を味わいたい方はさあどうぞ。今回はかなり効きますぞ。なにしろアレをやるんやからなあ。やるかなあ、普通。やるわなあ、田中啓文さんやもんなあ。
なに? なんのことかわからない? 種明かししたらあかんでしょう。田中”脱力”小説のファンならば、とにかく読んでみよう。いやまあ、アレですから。いやほんま。
(2005年2月5日読了)