「復活の地 I」の続巻。
荒廃した帝都を目の当たりにした内親王スミルは、摂政の座につくが、いまだ誰を信じていいのか判別がつかない。帝都復興院総裁に着任したセイオは、着々と復興の施策を打ち出すが、対応の遅れた政府に対する抗議も全て自分たちの背に負わされてしまい、都民たちの怨嗟の声が後を断たない。首相に任命されたサイテンは、このことを見越してあえて復興院の施策に口出しせず、しかし、影では陸軍と組んでセイオと復興院の追い落としの機会を狙っていた。さらに、植民地ジャルーダの反乱が起こる。これを機にレンカ帝国に対して影響を持とうとする列強の動きも無視できない。スミルは、列強の政治手法を学ぶためにレンカを離れて外遊をする。帰国した彼女は、摂政就任を神に報告する儀式のために、帝都から離れたカンガータの地におもむく。スミル、そして随行したセイオは、そこで土砂崩れに遭遇し、建物の下敷きになってしまった……。皇室を排除する機会をうかがうサイテンたちはどう動くか。そして、スミルとセイオの命は……。
復興をめぐって、政治的な実験争いが本格的に始まる。こういった駆け引きをきっちりと書き込み、さらに読みごたえのあるものに仕上げられるところに、作者の力量がどんどんと上がっていくのを感じる。特に深窓の姫君が、政争に巻き込まれながら少しずつものを見る力を蓄えていくところ、そして、住民のために打ち出した施策を住民から非難されながらも自分の方針を貫こうとする官僚がだんだん視野狭窄に陥っていくところなどの描写には作者の成長の跡が感じられる。
政争に敗れつつある主人公たちがどう巻き返していくのか。どこに着地点を置くのか。最終巻となる次巻に注目したい。
(2005年2月12日読了)